新しい形の卓上 カレンダー

私は、「スカーラ神宮前」を成功に導いたのは、なによりも「やりてーえ!」とおたけびをあげた、Nの火の玉のような熱っぽさだったと思っている。
その熱意と、それまでのT建設の着実な販売力、誠実な姿勢が、京セラリーシリングを動かしたのだ。 ノンバンクとはいえ、企業の営業力、実践的な行動力などを評価対象とし、無形の可能性を高く評価して、融資をつけたKの先見性ある融資姿勢も注目に値する。
日本の金融はごく最近まで、担保主義にこだわっていた。 融資金額に見合う担保を差し入れるか、保証人を立てなければ、どんなに有望なビジネスシースがあったところで、融資は受けられない、と相場が決まっていた。

だが、これからの金融機関は、その会社がもつ技術力、営業力、特異なビジネスモデルなど、無形のものを評価し、融資をつけていく姿勢を確立しなければ生き残れないといわれるようになっている。 最近では、こうした、たとえば知的財産などを″担保″とする融資が少しずつ拡大してきている。
しかし、すでに8年前に、そうした先見性のある金融機関に出合ったのだから、Nはかなりの強運の持ち主だということもできるだろう。 飛躍のステップどなった「スカーフヒルズ仙台」やはり、鉱脈はあった。
「スカーラ神宮前」を即日で売りきったNは、直感的に把握していた「職・住・遊」近接の都心型、30〜50平方メートルのマンション市場の存在にたしかな手応えを得た。 「スカーラ神宮前」が、Nにどれほど大きな力を与えたかは、T建設の売上推移がなによりも如実に物語っている。
創業の翌年、平成7年の売上高は8500万円。 平成8年は約6億7000万円。
ところが、平成9年は約2億2000万円と一気に倍近い伸びを実現したのである。 その後もNは、このタイプのマンションを集中的に販売していった。
平成十年には、なんと前年の4倍に迫る約43億8000万円の実績を上げ、規模はともかく、そのすさまじいまでの伸長ぶりに、T建設は業界では誰もが一目置く存在になっていった。 そんなある日、業界の先輩がNに声をかけた。
「仙台に興味ある?」「いい物件であれば、興味ありますよ」Nはこう答えた。 仙台は東北の首都のようなものだ。

全国展開の企業は東北の拠点を必ず仙台に置く。 青森出身のNには、東北における仙台の位置づけが誰よりも明確に読み取れた。
したがって、物件の企画がよく、価格設定の読みを間違わなければ、必ず売れる!仙台と聞いただけで、Nは、そう確信したという。 Nのこの読みのたしかさは、その後、本格的に行った市場調査の結果によっても証明された。

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